本屋大賞は、全国の書店員が「いちばん売りたい本」を選ぶ賞。プロの批評家ではなく、毎日本を手渡す人たちが選ぶから、読みやすくて心に刺さる作品が揃う。
2021〜2025年の受賞作から、特に「泣ける・感動する」5作を厳選して紹介する。
1. カフネ/阿部暁子(2025年・第22回)
弟を亡くした主人公が、弟の元恋人が立ち上げた家事代行サービス「カフネ」と関わりながら、少しずつ喪失を受け入れていく物語。
「カフネ」はポルトガル語で「愛する人の髪をそっと梳く」という意味。日常のやさしさが積み重なって、気づいたら泣いている。そんな静かな感動作。
2. 成瀬は天下を取りにいく/宮島未奈(2024年・第21回)
「わたしは今年の夏、西武大津店に毎日通うことにした」──滋賀の女子中学生・成瀬あかりが型破りな情熱で突き進む青春小説。
泣けるというより「元気をもらえる」作品だが、その真っすぐさに思わず目が潤む。読後感は爽快。
3. 汝、星のごとく/凪良ゆう(2023年・第20回)
瀬戸内の島に生きる男女の、長い時間をかけた愛の物語。「好き」という感情が、時に人を縛り、時に解放する。
前作『流浪の月』もそうだが、凪良ゆうは「社会の枠に収まれない人」への眼差しがやさしい。ラストは覚悟して読んでほしい。
4. 同志少女よ、敵を撃て/逢坂冬馬(2022年・第19回)
第二次世界大戦の独ソ戦を舞台に、少女スナイパーが戦場を生き抜く物語。デビュー作にして山本周五郎賞とのW受賞。
戦争小説なので重いが、主人公の成長と葛藤が圧倒的。読み終えたとき、何かが変わっている。
5. 52ヘルツのクジラたち/町田そのこ(2021年・第18回)
52ヘルツのクジラ──他の鯨には聞こえない周波数で鳴き続ける、世界でいちばん孤独なクジラ。その比喩が、作中の人物たちの孤独と重なる。
虐待・家族・自己犠牲というテーマを正面から描きながら、読後には確かな温かさが残る。
まとめ
| 年 | タイトル | 著者 | こんな人に |
|---|---|---|---|
| 2025 | カフネ | 阿部暁子 | 静かに泣きたい夜に |
| 2024 | 成瀬は天下を取りにいく | 宮島未奈 | 元気が出ないとき |
| 2023 | 汝、星のごとく | 凪良ゆう | 恋愛小説が読みたいとき |
| 2022 | 同志少女よ、敵を撃て | 逢坂冬馬 | 骨太な物語が読みたいとき |
| 2021 | 52ヘルツのクジラたち | 町田そのこ | 孤独を感じているとき |
どれも読みやすく、読書習慣のない人へのプレゼントにも向いている。まず1冊選ぶなら、あなたが今どんな気持ちかで決めてみて。